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……本当にすみません。
我慢できなかったんです。(汗)
……「書く予定はない」と言っていた第二パーティの子で早速SSを書いてしまいました……しかもいきなりうちのこ企画!!(汗)
これを書きたいがために、前回の記事の内容を設定のページにも載せて、企画の方にもジャンル等の修正を申請してきました(汗)
といってもあまり絡んではいないのですが……
松菱さん宅のガトゥーザ氏とニアミスしてます。
--------------ヴァイオレットとビリジアン
久しぶりに訪れたベクセリアの街は、以前にも増して活気に満ちていた。外を歩く人々の表情も、武器屋や道具屋の店主の声も明るい。
買い物と、ついでに店主との立ち話を終えたヴィオは、上機嫌にぱたぱたと街路を駆けていた。
これでこの街での用事は済んだ。あとは、仲間達との待ち合わせ場所に向かうだけ。そのまま街の入り口へ向かう階段を駆け下りようとしたとき、
(……あれは)
不意に、ヴィオの足が止まった。階段の手すりから軽く身を乗り出して、視界の隅に入ったものを確かめる。
そこに見えたのは、中央広場で仲睦まじく語り合う、一組の男女。何を話しているのかまではさすがに遠すぎて聞こえないが、二人とも笑顔を浮かべているということだけはわかった。
(……いいなあ)
思わず、ため息がこぼれた。
ヴィオは幼いころから、恋というものに対して敏感だった。大人達の中に子供が一人だけ、という環境で長い間生きてきたからかもしれない。
団員の加入と離脱を繰り返し、時に近くの街の住民や冒険者達とも関わっていく。思えば、数え切れないほどの人々が、ヴィオの育った盗賊団を通り過ぎていった。そして、そんな盗賊団では、実に様々な人間関係が展開していた。
大人の話題に入って行けないヴィオは、彼らの様子を一歩離れた場所からいつも見ていた。そのためか、彼女は幼いながらも「この人は誰のことをどう思っているか」ということを、なんとなく察することができるようになっていた。頭の中で人物相関図が描けるほどに。
やがてヴィオは、彼らが恋をする様子を見つめるようになる。
幸せな恋、苦しい恋、秘めた恋、叶わなかった恋。それぞれ形の違う色々な恋を、ヴィオは見てきた。それは彼らを時に笑顔にし、時に涙させ、彼らを弱くもすれば強くもした。
そして、恋する人々を見つめるヴィオの中には、いつしか一つの憧れが生まれていた。
――人が人を好きになるって、すごく素敵なことなんだ。
それからずっと、ヴィオは恋に対する憧れを抱き続けている。むしろ、盗賊団を出て世界中を旅した今、その思いはいっそう強くなった。
けれど今はまだこうして、道行く恋人達を目で追うだけの立場だ。
(……いつかボクも、誰かを好きになったり、誰かに好きだって言われたりするのかな)
そう思いながら、羨んでいるだけ。本当に自分にもそんな日がくるのだろうか、と少しの不安を抱えながら。
(お姉ちゃんたちは、まだまだこれからって言うけど)
胸の中で呟いて、ヴィオは二度目のため息をついた。
その時、ヴィオの視界に見慣れないものが映った。
(……初めて見る人だ。あんな神父さんがいたなんて)
中央広場を通り過ぎようとしていたのは、鮮やかな緑の髪を持つ神父服の青年だった。
その背中に、街の子供達が駆け寄ってきている。彼はそれに気づき、立ち止まって振り向くと、屈んで何やら話し始めた。
(随分、若い神父さんだな)
素直にそう思った。彼はおそらく、ヴィオの仲間達と同じくらいの年齢だろう。世界を旅して色々な街を訪れたが、彼ほど若い神父は今までに見たことがなかった。
彼はしばらく会話を交わし、最後に子供達の頭を乱暴に撫で回すと、立ち上がって西側の階段を上り始めた。教会に戻るのだろう。
その姿を見て、ふと思った。
(そういえば、神父さんって結婚できないんだっけ)
同時に、彼と同じ年頃の仲間達や、盗賊団のメンバーの顔を思い浮かべた。恋に悩み、傷つき、それでも逃げなかった、彼らの笑顔を。
(……あの人は、恋をしたい、とか、思わないのかな)
なんとなく、気になった。
――あの若い男が、どんな思いで神父服を身に纏っているのか。
気がつくと、彼は階段を上り終えていた。このままでは、こちらに向かってくる彼に見つかってしまう。それは少々気まずい。それに、そろそろ仲間達も待ち合わせ場所に着いている頃だろう。
とにかく、この場は立ち去らなければ。そう思い、手すりから手を離し――一瞬だけ振り返って。
(……今度ここに来ることがあったら、教会にも寄ってみようかな)
ちょっとした楽しみを心の奥にしまって、ヴィオは階段を駆け下りていった。
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……発端は、ヴィオの設定を書いていたら「あれ、なんだかどんどんルインちゃんに似てきてる……(汗)」と思ったことなのです。
ボクッ子、武器がブーメラン、職業がレンジャー(現在は魔法戦士になりましたが)ときて、水が怖い(うちの子の場合は海だけど)ってとこまでかぶってる! やばい! ……と思ったらむしろ松菱さん宅のお子さんと絡めてみたくなってしまって(おい)
ガトゥーザを相手に選んだのは完全に私の好みです(笑)松菱さんの「一生独り身なのだろうか」発言に触発されたということもありますが……(汗)
彼は子供に慕われてそうなイメージがあったので、あんな感じの描写になりました。
ちなみに、ガトゥーザの髪の色は正確にはビリジアンではないと思うのですが、語呂が良いのでこのタイトルにしてしまいました。すみません(汗)
この話を書くにあたって松菱さんのお話をじっくり読み返してみて、改めてガトゥーザの魅力に打ちのめされました。
がっくんがかっこよすぎて生きるのが辛い。(笑)