[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ちょっと間が空きましたが続きを更新!
ここでやっと恋心を意識し始めます。時期としては果実集めのあたり。
--------------クロードの日記④
どうやら俺は、アンジュに惚れてしまっているらしい。そう思うのに、さほど時間はかからなかった。
気がついたらいつも、あいつを目で追っている。自分でも呆れるくらいに。最初は危なっかしくて見てられないだけかと思ってたが、旅を続けて、アンジュの色んな表情を見てきて、そうじゃないってわかった。
……多分きっかけは、ベクセリアの事件だったんだと思う。
エリザさんが亡くなって、葬儀が行われたとき。
あいつは、出会って二、三日程度のエリザさんの死を悲しんで、わんわん泣いていた。まるで、自分の身内を亡くしたかのように。
けれど葬儀が終わって、街の人々が帰っていくと、あいつは涙を拭ってこう言った。「このままじゃ、このままで終わらせちゃいけない……今からでも、できることはあるはずだよ。行こう、みんな」 ……さっきまで泣いていたとは思えない、凛とした瞳で。
そしてあいつは、ルーフィンさんとベクセリアに活気を取り戻させた。
誰かのために涙を流すことができる、純粋な気持ち。
そして、泣いても、傷ついても、悲しみを悲しみで終わらせるまいとして、決して立ち止まらない、強い思い。
……その心を知ったときから、俺はアンジュに惹かれ始めたんだな。
しかし、サティとメルにこうも早く気づかれてしまうとは思わなかったな……俺って、そんなに分かりやすいか?
しかもサティからは「そっか、妹萌えなんだ」なんて言われる始末だしな。あいつは俺のことを一体どんな目で見ているんだ。確かにアンジュは幼く見えるけど、俺が特別年下好きって訳ではないんだぞ。
まあ、本人に気づかれていないだけいいか。
告白しないのか、ってサティとメルには言われたが、俺は当分、自分の気持ちをアンジュに伝えるつもりはない。今のアンジュの心が、俺に向いてはいないのは目に見えてるからな。
それに、もし俺が告白したら、きっとアンジュは俺の気持ちを傷つけまいとして、過剰なまでに気を遣ってしまうだろう。あいつは優しいからな。それで俺たちの関係がぎくしゃくしてしまうのも困る。
……この旅が終わった時。
その時にまだ可能性があるなら、あいつにこの思いを伝えよう。
今は、そう考えているところだ。
------------------------------------------
恋心の自覚と同時に、失恋へのカウントダウンというちょっと切ない(?)日記になりました。