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好きなものを好きなように書き散らかす二次創作サイト。
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イザ主というか、イザ←主。ラスボス直前。
なんとかヤンデレにならずにすんでいるのが、うちの主人公だと思います。


























--------------その先に道がなくても










果実を口にすることに、躊躇いはなかった。



世界を守るためにそこまでするなんて、とサンディは嘆いた。
けれど。







「……違うよ、サンディ」


静かに、首を振った。


周りから見たらきっと、自分のことは、世界を守るために天使であることを捨て、人間になった優しく勇気ある者として写るのだろう。
だけど、自分は聖人君子ではない。
全てを投げ打って世界のために尽くせるほど、自分は優しくはないのだ。



「こんなことを言ったら、天使失格だって言われるかもしれないけどね。……私が戦うのは、世界を守るためなんかじゃない。本当は、世界のことなんてどうだっていいの」



そう口にして、きっと、自分は師のようにはなれないのだ、という結論が思考を横切った。ほんの少しだけ、胸が痛くなる。
それでも、もう戻ることはできない。
自分には、世界よりも大切なものがあるということを、知ってしまったのだから。



「サンディ、言ったよね? イザヤールさまの最後の頼み、きいてあげなきゃって」



思えば、師を失って絶望の淵にいた自分を立ち上がらせてくれたのは、サンディのその一言だった。
まだ、師のためにできることがある。
まだ、弟子としてできることがある。
その思いだけが、自分をここまで突き動かしてきた。
そして、自分はまだ、それを成し遂げられてはいない。



「そのために、私は行くの。あの人を……エルギオスさまを救い出すことが、イザヤールさまの願いだから」
「アンジュ……」



サンディは、不安そうな顔で見下ろしてくる。そこには、いつもの楽観的な態度は見られない。



「心配いらないよ。私たちの実力なら、サンディがいちばんよく知ってるんじゃない?」
「そりゃあ……そうだけど……」



そんな顔をしなくても大丈夫だよ、と言う代わりに彼女に向かって笑顔を向けた。うまく笑えているかどうかは、わからないけれど。
そして心の中で、ありがとう、ごめんね、と呟いた。








彼女が心配しているのは、この先の戦いで勝てるかどうかではない。戦いが終わった後のことだ。
戦いの終わりはすなわち、自分の中にある、師という軸の消滅を意味する。
今まで師のことだけを思ってここまで来た自分が歩く理由をなくしてしまったとき、いったいどうなってしまうのか――きっとそれが、彼女は心配なのだろう。
正直なところ、自分にも、自分がどうなるかわからない。戦いが終わった瞬間、また絶望に呑まれてしまうかもしれない。
しかし、例えそうだとしても、止まるわけにはいかない。
自分の中にこの軸がある限りは、師のことだけを思って生きていく。
そう、決めたから。








「……大丈夫。大丈夫だよ」



無意識のうちに口から出たその言葉は、いったい誰に向けたものだったのだろう。















------------------------------





サンディのあの台詞を見た瞬間、うちの主人公のスタンスが決まりました。




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