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やっと書けた、再会後設定の幸せ(?)なアカヒカ。
ちなみにこれ、実話です。
ちなみにこれ、実話です。
--------------グラシデア
「……何だ、これは」
「見て分からないんですか? 石碑ですよ。ほら、この字、わたしが刻んだんですけど、この石碑に文字を刻んだら、あそこの海割れの道が開けて……」
「そうではない! なぜこのような文字が刻まれている、と言っているのだ!」
「感謝の気持ちを示すことで、あの道が開くんですよ。あ、そういえばこの場所、前は全然花なんてなかったんですけど、この石碑に文字を刻んだら、一瞬でこんな風に花が咲き乱れたんですよ! 凄いと思いませんか!?」
「……いや、質問を変えよう。なぜ、私の名が……ここにある?」
目の前の石碑に、彼女が刻んだという文字はこうだった。
『アカギさん
ありがとうを つたえたい あいて』
「一緒に、行ってほしい場所があるんです」
そう彼女に言われ、たどり着いたのは224番道路の果て。
まさか、花畑に連れてこられることになるとは思いもしなかった。
今思うと、どこへ行くつもりなのか、と問わなかった、そしてまあ良いだろうと承諾してしまった自分が愚かでならない。
「見てください、この花畑! きれいでしょう?」
一面の花の中に足を踏み入れ、彼女は笑いながら無邪気に駆け回る。が、そんなことを言われても、私の気が弾むわけがない。
「……花が見たいだけなら、一人でもいいだろう。私は帰らせてもらうぞ」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってください、アカギさん!」
踵を返した私の背に、駆け足が近づいてくる。彼女は慌てた様子で、私の服の裾を掴んだ。待ってください、としつこく言う彼女に、やれやれと思いながらも、振り向いた。
「アカギさん……花は嫌いですか?」
「好きではないな。第一私に似合うものではないだろう」
答えは溜息混じりになる。
元々花は好きではないが、あの異世界から戻ってきたばかりの自分には、ひどく不似合いな気がした。
「……あの、だったらあれだけでも、見てもらえませんか?」
と言って、彼女が指さした先にあったのが、
この石碑だった。
「そんなに不思議ですか? わたしがアカギさんの名前を刻んだこと」
「……当然だろう。私がキミに感謝されるようなことをした覚えはない」
嘘ではない。
私は今まで、ずっと彼女の敵だった。ギンガ団のボスとして、何度も彼女と対峙したことはもちろん、今私がいるこの世界を否定し、新たな世界を作り出そうとしていた。
その私を、彼女が憎む理由はあっても、感謝する理由はどこにも見つからない。
「でも、わたしがアカギさんに感謝しているのは本当ですよ。だって、」
彼女が石碑から、視線を私に向ける。
同時に、一陣の風が巻き起こった。
「アカギさんは、わたしと出会ってくれたじゃないですか」
舞い上がる花びら。満面の彼女の笑みを包む、花吹雪。
その光景に、
不覚にも、美しい、と思った。
「……アカギさんと出会ってから、ギンガ団を追いかけてきたことも、やぶれたせかいに入ったことも……アカギさんを連れ戻すことができなくて泣いたことも、絶対にもう一度会うんだって思ってた時のことも、また会えたときのことも、つらい気持ちも、悲しい気持ちも……大好きな気持ちも、全部、私の宝物なんです。だから、ずっとアカギさんに言いたかった。わたしと出会ってくれて、たくさんの思い出と、たくさんの気持ちを教えてくれて、ありがとう……って」
彼女は笑う。ただ、感謝の心だけをまっすぐに、私に向けている。
そういえば彼女は、石碑に文字を刻んだら、この地に花が咲き乱れた、と言っていた。
もし、本当にそうだとしたら。
この花たちは全て、私への、彼女の思いだというのか。
一度たりとも彼女の味方になったことのなかった私のことを、彼女は、こんなにも強く思っていたというのか。
恨むことも、憎むこともなく、
ただ、ありがとう、と。
「……気が変わった」
「え?」
「帰るのはやめだ。もう少し、キミに付き合おう」
「ど、どうして……アカギさん、花は嫌いなんじゃ……」
確かに、彼女の言うとおりだ。
彼女の言葉ひとつで、簡単に変われるような心を、私は持ち合わせてはいない。
花は好きではない。そのことは、変わらない。
だが。
「理由などいいだろう。……キミは、私と一緒にここへ来たかったのではないのか?」
「い、いいんですか!? じゃあ、花の楽園にも行ってみましょう! あっちの花畑も、すごくきれいですから!」
花に囲まれて笑う彼女を見るのは――悪くないかもしれない。
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マジで「アカギさん」と入力しました。
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