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記念すべき初の主クマ。
全体のプロローグも兼ねて、こんな形にしてみました。
「愚者と星」ってすごくいい響きだよね。
全体のプロローグも兼ねて、こんな形にしてみました。
「愚者と星」ってすごくいい響きだよね。
--------------君を見つけてしまったあの日
愚者は考える。
なぜ、彼を疑うことをしなかったのだろうかと。
テレビの中の異空間。視界を覆う霧。
黄色で統一されたスタジオのような広場に、殺風景な寝室。
ただでさえそんな異常な状況の中にいるというのに、その上クマの着ぐるみ(のようなもの)まで現れたら、警戒するのが普通だろう。
彼が自分たちを引きずり込んだ張本人かもしれない、と考えても不思議ではない。
実際、一緒にいたクラスメート達は彼の存在に大いに驚き、何者だと激しく問いつめていたのだ。
けれど。
自分は、そうはしなかった。
それどころか、気づいたときには「キミは誰?」と、優しく彼に問いかけていた。
そうせずには、いられなかった。
一体、なぜ。
本当は、わかっている。
彼の瞳が、あまりにも澄んでいたからだということを。
自分たちの存在に驚き、怯え震えるその無垢な瞳を見たとき、彼を敵だとはどうしても思えなくなった。
人間ではないとか、生き物なのかもよくわからないとか、そんなことはとっくに頭の中から抜け落ちて、気づいたときには、自分は彼に対して庇護欲すら覚えていた。
愚者は考える。
――もしかしたら。
星は思う。
なぜ、彼に縋り付いてしまったのだろうかと。
もともと、自分とシャドウしか存在しなかった、この世界。
外界の干渉を受けないはずのここに、人が放り込まれている。
そんな状況で、自分の目の前に人間が現れたら、警戒するのが普通だろう。
彼らが人を放り込んだ犯人かもしれない、と考えても不思議ではない。
けれど。
自分は、そうはしなかった。
それどころか、彼と共にいた少女の激しい詰問に怯え、慌てて彼の背に身を隠してしまっていた。
そうせずには、いられなかった。
一体、なぜ。
本当は、わかっている。
彼の瞳が、あまりにも暖かかったからだということを。
怯える自分に向けて、「キミは誰?」と問いかけてくれたその優しい瞳を見たとき、彼を敵だとはどうしても思えなくなった。
異世界の住人だとか、犯人かもしれないとか、そんなことはとっくに頭の中から抜け落ちて、気づいたときには、自分は彼に対して安心感すら覚えていた。
星は思う。
――もしかしたら。
あの時にもう、心は動き出していたのかもしれない。
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「もしかしたら一目惚れだったのかもしれないなぁ」とお互い思っている。そんな話。
やっぱり着ぐるみのクマに「彼」の表記は難しいかね。
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