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サルベージSSその2。
元々は夫婦パラレルとして書く予定だった話なのでこんなシチュエーションですが、考えようによっては合宿の最中として読めないこともない。
というわけで、場面設定はお好きにどうぞ。そんな投げっぱなしSS。
元々は夫婦パラレルとして書く予定だった話なのでこんなシチュエーションですが、考えようによっては合宿の最中として読めないこともない。
というわけで、場面設定はお好きにどうぞ。そんな投げっぱなしSS。
--------------その灯りをともすもの
不二の肌は、人に比べてちょっと冷たい。
というより、不二は身体が温まりにくいんだと思う。
元々俺よりも寒がりなところがあったし、寒いところにいるとすぐに手が冷えちゃうんだ、って本人から聞いたこともある。
まあ、普段ならそれほど気にも留めないことなんだけど。
時々その事実がとても深刻なことのように感じる時がある。
例えば、今この時。
ベッドに入ってから、およそ十分。
既に俺の身体はぬくぬくと温まっているわけなんだけど、隣のベッドでは子猫みたいに丸くなった不二が小刻みに身体を震わせている。体温が低い分、布団に伝わる熱も少ないんだろう。
……こんな風に言うとちょっと大袈裟かも知れないけど、なんだか痛々しいな、とも思う。
こういう時、寒いの? 大丈夫かい? って俺が聞いても、大丈夫だよ、って不二は笑うに決まっている。だから俺は何も言えずに縮こまった不二の背中を見つめていた。
俺が何もしなくても、このまま待っていれば冷えてしまった不二の身体も温まり始めるんだろう。言われなくても分かっている。
だけど、寒さに耐えきれず布団を頭まで被ろうとした不二を見た瞬間、もう放っておけなくなった。
ベッドから、僅かに上半身を起こして。
「……こっち、来る?」
思わず、言ってしまった。
不二は俺の言葉を聞き逃さなかった。言い終わると同時にベッドからがばっと飛び起きて俺の方に向き直ると、しばらくの間目を丸くしたまま固まっていた。驚きのあまり、自分が今何を言われたのか分からなくなった、といった様子だ。
さっきの言葉を繰り返す代わりに軽く手招きをしてみせると、不二はようやく、僅かに口を開いた。
「……いいの?」
俺は何も言わずに、小さく頷いた。
ベッドの端に身を寄せると、不二はするりと俺の隣に滑り込んできた。
まだ少し冷たいその身体に両腕を回し、ぎゅっと抱き締めて、目を閉じる。俺の腕の中で、少しずつ、少しずつ暖かさを取り戻していく身体。
もう大丈夫かな、と思って目を開けて見た時には、既に不二の瞼は伏せられていた。小さな寝息を立てながら、微笑みを浮かべている。それにつられたのか、俺の頬も緩んだ。
この身に感じる、ふたつの鼓動。
その音の中に身を預け、まるで海の底にいるような心地よさを感じながら――俺はおやすみ、と心の中で呟いた。
……その代わり、俺の方が眠れなくなっちゃったんだけど。
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なんとなく、
不二→寒がり タカさん→体温高い
というイメージです。
元々はタカさんの誕生日記念に書いたその場しのぎSSでした。
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